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EUのプラスチック税はプラスチック包装材料からのシフトを後押しすることに

Charles Willard, Analyst

2021年1月1日、欧州連合(EU)は非再生プラスチック廃棄物に対する新しいプラスチック税を実施しました。各加盟国が負担する金額は、各加盟国の前年の非再生可能プラスチック包装総重量に基づいてEurostatにより計算されます。再利用されたプラスチック廃棄量はこの計算には含まれません。このプラスチック税の税率1キロ当たり0.96ドルで、1人当たりの国民総所得(GDP)がEU平均を下回る加盟国に対しては一括払いの割戻しが行われます。プラスチック税による税収は約9億5000万ドルの払い戻しを差し引いた後でも年間79億ドルに達すると見込まれており、EUの一般予算を支えるために使われます。

多くのEUの税金と同様に、このプラスチック税は年始に加盟国ごとに年間課税額が計算され、加盟国各国はこの税金をどのように賄うかを検討することになります。大半の国は、拡張生産者責任(EPR)コンプライアンス組織(PRO)を通して、国が支払うべきEPR手数料の増加に比例して、企業メンバーに費用を転嫁することになります。このEPR料金の正確な仕組みについては、支払いが必要な金額に加え、再利用が不可能なプラスチックの国内市場からの排除に向け、どのようなインセンティブを設けるかを鑑みて、加盟国がそれぞれ決定しています。

The EUs Plastic Waste Tax Will Drive A Shift Away From Plastic Packaging

そのような中、年間の課税額が大きい国と少ない国の間に格差が生じています。課税額が大きい国の多くは、容器包装市場の中で非常に大きな割合を占める堆肥化が不可能な包装材料と再利用されていない内容物を含む包装材料に対して課税しています。一方、課税額が少ない国は、複合材プラスチックやプラスチック塗工のされた紙のような小さなセグメントにのみに課税しているにすぎません。このように、課税が重い国と軽い国の間ではプラスチック税の種類が異なり、課税額の少ないEU諸国は国内市場に大きなインパクトを与えることを回避することができるものの、欧州の主要市場は影響を受けることになります。輸入品はすべて、各国の新しい国内税制に準拠する必要があります。 

ラックスリサーチは、この欧州のプラスチック税を受け、主に4つのことが起こると考えています。 

  1. 可能な限り、包装業者は木材、紙、綿、金属などの非プラスチック材料に移行する。単一使用のプラスチックに対する規制により、この移行はすでに進行中ですが、プラスチック税はこの移行をより早めることになるでしょう。

  2. 包装会社は、多層の複数材料でできた柔軟包装を、多層の単一材料の柔軟包装に転換するなど、より再利用可能な包装へと移行する。すでに見られているように、密度や性質を容易に修正することで単一材料にて多層包装と同様の効果を生み出し、結果的にリサイクル性を大幅に向上させることができるため、ポリエチレン(PE)にとっては追い風となる可能性があります。

  1. 従来のプラスチック、代替品、リサイクル含有量など、どの材料を使うとしても、製品原価に占める包装資材費の割合は増加する。そのため、トレーサーを搭載した包装材やアクティブパッケージなど、より高価な包装オプションが可能になるかもしれません。

  2. プラスチック税はリサイクルインフラの整備に直接資金を提供するものではありません(この点は論議の的となっています)が、再利用された内容物の含有量増加が予想されるため、リサイクル業者のマージンの改善や設備投資の奨励につながると考えられます。

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#LUXTAKE(ラックスリサーチの見解)

 最も影響の大きいEU加盟国と最も影響の少ないEU加盟国の間でどのような傾向が見られるかを分析し、一般的な結果を予測することはできますが、プラスチック税の負担を取り戻すため、各国がそれぞれわずかに異なる国内戦略を策定していることから、EUにおけるパッケージング市場は複雑化しています。 そのため、EU各国において1つのやり方ですべてに対応する』というアプローチはもはや実行不可能であり、各国の新しい基準に合わせるための戦略を策定し直す必要があります。

ただし、欧州における規制のシフトやパッケージングコストの上昇という混乱の中で、パッケージ分野におけるイノベーション機会が生まれているのも事実です。スペインで最初に再利用可能な包装を開発しプラスチック税を回避する企業とは?フィンランドの天然資源を利用して包装を開発し、プラスチック税を回避する最初の企業とは?このEUのプラスチック税への対応や持続可能な材料に影響を与える各種政策を理解し戦略を策定したいというクライアントをサポートすべく、ラックスリサーチは新しい報告書「Policies Impacting Sustainable Materials(サステイナブルな材料に影響を与える規制)」を発行予定です。

 

※本ブログ記事は、英文の記事を翻訳したものです。原文記事はこちらからご確認いただけます

 

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